あゝ日情
「わあ~、みかんの海に溺れちゃったよ~」
摘み子さんの声が聞こえた。
後ろを振り返ると、二段積んであった筈の
コンテナが積み子さんの方に向かって倒れていた。
「ごめんなさい!!」
当然の一言しか出ず。
“みかんに埋もれた”という積み子さんの表現は
間違っていなかった。
一部、オレンジに染まった地面に
年上のレディーの綺麗な足が確かに埋もれている。
この光景はなかなか美しい。
いやいや、そんなことを言っている場合じゃない。
まだあわてるような時間じゃない。
(スラダンの仙道様ね)
違う違う!
そんで、結果的には足には重たいコンテナは
乗っかってなくて、無問題だったのだけれど。
ほら。
お姉さま方の骨折とかそういったケガって
僕らとは感覚が違うじゃない?まことに。
ケガが原因で動けなくなったらそこから
外出が減って、人との会話が減って
どんどんマイナスな方へ進んでいって、、って
普通はそうなんだけどこっちのおばあ達は
元気すぎてその未来が全く見えない!
見聞色なんて使えたもんじゃない。
本当にパワフルな人らしかいないから
50個上とか忘れるのよね。←言い方。
はい、少しヒヤッとした話はこの辺にして。
愛媛での生活も恐らくあと2週間ぐらいかな?
去年は11月末までしかいなくて
楽しくなってきた頃に僕は帰ったんよね。
今年は最後までっ。
体力持つかなあ、とか先週あたり
思ってたけど絶対にあっという間。
長いようで短い。
よくある現象。いや、短いようで
さらに短い、の表現が正しいかなあ?
居心地がいい。多幸。
いくつもの場所で、コミュニティで
体感してきたこと。
こればっかりはこれまでも
これからもきっとずっと!!
客観的に見ても、僕はそう思える場所が
多いと思う。これはありがたいこと。
思い込みでもいいのよね。
いかに自分自身を騙せるか、ね。
直感で「あ、この人絶対気が合う」
って人にも何人か出会えたし
みかんは美味しいし(何回でも言わせて)
空は青いし毎日少しずつ畑からオレンジ色が
減っていって、景色は毎日変わっていくし。
ほら、綺麗。
ぼーっと空を眺める時間は大切。
自分がどこにいて、何故そこに在るのか。
そんなんを適当に考えていると黒い点2つが
視界に入り、あれは何の鳥かなあと見つめる。
多分、トンビ。
トンビ、かっこいいなあ。気持ちよさそう。
視線を落とし、大きな木に1つだけ摘み忘れ
られているみかんと目が合う。
ぽつんとたたずんでいる。
摘む。
食べる。
わからないけど少し特別な気がして
美味しい。
みかんを送りたいけどまだ送れていない人
がいることに気が付く。
後で農家さんに言わなきゃなあ、と
20回は思っている。
明日も愛媛。
海外ドラマを見て寝よう!!